エンコーダーとは|BuhinDana

エンコーダーとは|BuhinDana

エンコーダーとは、物体の回転や直線の位置、角度といった機械的な変位量を、電気信号に変換して出力するセンサーの一種です。
エンコーダとも呼ばれ、FA機器やロボット、家電製品など、精密な動作制御が求められる様々な分野で利用されています。

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EC50A
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インクリメンタル(A、Bの2相出力)
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EC40Aシリーズ
インクリメンタル(A、Bの2相出力)

エンコーダーとは?位置や角度を検出する仕組みをわかりやすく解説

エンコーダーとは、モーターの回転角度や装置の位置情報を検出するためのセンサーです。
その役割は、機械的な動きを電気信号に変換し、コントローラーに伝えることにあります。
この信号があることで、なにがどのくらい動いたかを正確に把握できます。
エンコーダーとモーターを組み合わせることで、精密な速度制御や位置決めが可能になるのです。

この機能は、物体の回転や直線運動の距離、速度、方向を検知する基本的な構造によって実現されており、精密機械の制御において重要な役割を担っています。
エンコーダーの仕組みを理解することは、機械制御の基本を知る上で不可欠です。

エンコーダーが物体の動きを検知する基本原理

エンコーダーは、回転や直線の動きを検知し、その移動距離や速度を電気信号に変換するセンサーです。
基本的な原理として、回転軸や移動体に取り付けられたスケール(目盛りの付いた円盤や板)のパターンを、非接触のセンサーで読み取ります。
物体が動くとスケールのパターンが変化し、センサーがそれを検知してパルス信号を生成します。
この信号の数を計測することで移動距離が、単位時間あたりの数で速度が測定可能です。

また、2つの位相がずれた信号を出力することで、回転方向の判別もできます。
このように、物理的な動きをデジタル信号に変換することが、エンコーダーによる検知の基本となります。

光の透過で位置を読み取る「光学式」の仕組み

光学式エンコーダーは、光の透過・遮断を利用して位置を検出する方式です。
その内部には、光源である発光ダイオード(LED)、スリット(格子)が等間隔に刻まれた回転スケール、そして光を検出する受光素子が配置されています。

モーターの回転などに伴ってスケールが動くと、スリットを光が透過したり遮られたりします。
この光の明暗の変化を受光素子で検知し、矩形波の電気信号に変換して出力します。
スリットを1つ通過するごとに1パルスが生成されるため、このパルスの数を数えることで、非常に細かい角度や位置の変化を精密に読み取ることが可能です。
高精度な位置決めが求められる用途で広く採用されています。

磁力の変化を捉える「磁気式」の仕組み

磁気式エンコーダーは、磁力の変化を利用して位置を検出する方式です。
N極とS極が交互に着磁された磁気スケール(磁気ドラムなど)と、その磁界の変化を検知する磁気抵抗素子(MR素子)などのセンサーICで構成されます。

スケールが回転または移動すると、センサー部分の磁界が変化します。
この磁力の変化をセンサーICが電気信号に変換し、位置情報として出力する仕組みです。
光学式と比較して、油やホコリ、水分などの汚れが付着しやすい悪環境下でも安定して動作するという特長を持ちます。
近年では、半導体技術の進歩により、磁気式でありながら高精度な検出が可能な製品や、静電容量式といった異なる原理のエンコーダーも開発されています。

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インクリメンタル(A、Bの2相出力)
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EC12Eシリーズ
インクリメンタル(A、Bの2相出力)

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エンコーダーの主要な種類とそれぞれの特徴

エンコーダーは、検出する動きの形状と、位置情報の出力方式によっていくつかの種類に分類されます。
動きの形状による分類では、回転体の角度を検出するロータリーエンコーダーと、直線上の位置を検出するリニアエンコーダーがあります。

また、出力方式による分類では、移動量をパルス信号で出力するインクリメンタル方式と、絶対的な位置をコードで出力するアブソリュート方式が主要です。
それぞれの特徴は異なり、用途や必要な精度に応じて最適な方式を選択する必要があります。
これらの種類と特徴を比較し、理解することがエンコーダー選定の第一歩となります。

移動量をパルスで出力する「インクリメンタル方式」

インクリメンタル方式は、電源が投入された時点を基準(0)として、そこからの回転量や移動量に応じた数のパルス信号を出力するエンコーダーです。
構造が比較的シンプルであるため、低コストで導入しやすいという利点があります。
しかし、電源が遮断されると現在の位置情報がリセットされてしまうため、装置の再起動時には必ず原点復帰の動作が必要となります。

出力されたパルス信号を積算して位置を把握するには、PLCやカウンターといった外部の計測回路が不可欠です。
速度制御や相対的な位置決めを行う用途に適しており、多くのFA機器で採用されています。

絶対的な位置情報を記憶する「アブソリュート方式」

アブソリュート方式は、回転角度や位置に応じて、それぞれ固有のコード(絶対値)を出力するエンコーダーです。
ab相のパルスではなく、各位置に割り当てられた一意の数値を直接読み取るため、電源を投入した瞬間に現在位置を正確に把握できるのが最大の特徴です。

この特性により、インクリメンタル方式と違って原点復帰の必要がなく、停電後の復旧も迅速に行えます。
回転数を記憶できる多回転タイプもあり、複雑な位置決め制御に威力を発揮します。
出力はパラレル通信やシリアル通信などの形式で行われ、絶対的な位置情報を数値データとして上位のコントローラーへ通信します。

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EC09Eシリーズ
インクリメンタル(A、Bの2相出力)
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EC18Aシリーズ
アブソリュート
EC05
EC05Eシリーズ
インクリメンタル(A、Bの2相出力) 

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FA機器から家電まで!エンコーダーの具体的な用途例

エンコーダーは、精密な位置や速度の制御が求められる多様な機器や仕事で活躍しています。
FA(ファクトリーオートメーション)の分野では、産業用ロボットのアーム関節の角度制御や、工場の生産ラインを流れるコンベアの速度調整、工作機械のテーブルのスライド位置決めなどに使用例があります。

身近な製品では、エレベーターの昇降位置制御、デジタルカメラのレンズのズームやフォーカス調整、プリンターのヘッドの移動距離検知などにも不可欠です。
また、自動車のパワーステアリングのハンドル操作角度の検知や、IT機器であるマウスのホイール操作量の読み取りなど、その用途は多岐にわたります。
ローラーの位置決めなど、私たちの生活や産業を支える機械の精密な動きの裏には、エンコーダーの働きがあります。

最適なエンコーダーを選ぶ際に確認したい5つのポイント

最適なエンコーダーを選定するには、その使い方や目的を明確にし、いくつかの重要な仕様を確認する必要があります。
用途に適さない製品を選んでしまうと、必要な精度が得られなかったり、装置の故障につながったりする可能性があります。

選定の際には、まずどの程度の細かさで位置を検出したいかを示す「分解能」を確認します。
次に、接続する機器に合わせた信号の「出力形式」、そしてモーターなどの回転速度に対応できるかを示す「最高応答周波数」が重要です。
さらに、物理的な制約である「形状・サイズ」や、使用環境の過酷さに応じた「保護構造」も考慮しなければなりません。
これらの入力情報を基に、適切な設定や調整を行います。

ポイント1:どのくらい細かく検出できるかを示す「分解能」

分解能は、エンコーダーがどれだけ細かい動きを検出できるかを示す性能指標で、選定において最も重要な項目の一つです。
ロータリーエンコーダーの場合、回転1周あたりに出力されるパルス数で表され、その単位は「P/R(Pulse per Revolution)」が用いられます。
例えば、分解能が1000P/Rであれば、1回転で1000個のパルスを出力し、360度を1000分割した0.36度ごとの角度変化を検出できます。

この数値が大きいほど、より高い精度での位置決めや速度制御が可能になります。
ただし、必要以上に高い分解能の製品は高価になるため、装置に求められる精度に応じて適切なスペックを選ぶことが肝心です。
場合によっては、電気的な補正回路を用いて分解能を高める計算も行われます。

ポイント2:接続機器に合わせた信号の「出力形式」

エンコーダーが出力する信号の形式は、PLCやカウンターなど、信号を受け取る側の機器の入力仕様に合わせて選ぶ必要があります。
主な出力形式には「オープンコレクタ出力」「トーテムポール出力」「ラインドライバ出力」などがあります。
オープンコレクタは構成がシンプルですが、ノイズに弱く、配線距離が長くなると信号が劣化しやすいです。

一方、ラインドライバ出力は、2本の信号線(A相とĀ相など)で差動信号を送るためノイズに非常に強く、ケーブルを長く引き回す用途に適しています。
出力形式が接続機器と一致しない場合、信号を正しく読み取れず、エラーや誤動作の原因となるため、事前の確認が不可欠です。
場合によっては信号変換用のアンプを介して接続します。

ポイント3:回転速度に関わる「最高応答周波数」

最高応答周波数は、エンコーダーが電気的に対応できるパルスの速さの上限を示すスペックで、単位はkHzで表されます。
モーターの回転数が速くなると、それに比例してエンコーダーから出力されるパルスの周波数も高くなります。
このとき、モーターの最高回転数で出力される周波数が、エンコーダーの最高応答周波数の仕様値を超えてしまうと、パルスを正確にカウントできなくなり、正しい位置や速度の制御ができなくなります。

特に高速でリアルタイムな制御が求められる用途では、モーターの最高回転数とエンコーダーの分解能から必要な周波数を算出し、それを十分に満たす製品を選定することが重要です。

ポイント4:取り付けスペースに応じた「形状・サイズ」

エンコーダーを選定する際には、性能だけでなく、機械や装置に取り付けるための物理的な形状とサイズも重要な要素となります。
エンコーダーには、モーターなどの軸にカップリングを介して接続するシャフトタイプや、モーター軸に直接はめ込む中空軸(ホローシャフト)タイプなど、様々な形状が存在します。
また、製品の外径や奥行きといったサイズも多岐にわたります。
装置の設計段階で、エンコーダーを設置するスペースが限られている場合、そのスペース内に収まる製品を選ばなければなりません。

近年では、装置全体の小型化のニーズに応えるため、非常にコンパクトなサイズの製品も増えています。
取り付け方法やスペースを事前に確認し、適合する形状とサイズの製品を選びます。

ポイント5:使用環境の過酷さで決める「保護構造」

エンコーダーを使用する環境は、粉塵や水、油などが存在する過酷な場所であることも少なくありません。
こうした異物がエンコーダー内部に侵入すると、光学部品の汚れや回路のショートを引き起こし、故障の直接的な原因となります。
そのため、使用環境の過酷さに応じて適切な保護構造を持つ製品を選ぶことが極めて重要です。

保護構造の等級は、国際規格である「IPコード」によって示されます。
例えば「IP65」という表記がある場合、最初の「6」が防塵性能(塵埃の侵入を完全に防ぐ)、次の「5」が防水性能(あらゆる方向からの噴流水に耐える)を表します。
環境に適さない製品を使用すると、早期の故障につながるリスクが高まります。

EC05E
EC05Eシリーズ
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特定のシリーズや規格を指す「エンコーダーS」とは?

「エンコーダーS」という言葉は、エンコーダーの一般的な種類や分類を示す用語ではありません。
多くの場合、特定のメーカーが展開する製品のシリーズ名、あるいは特定の規格やアプリケーションの略称として使用されています。
例えば、計測器メーカーであるナショナルインスツルメンツ(NI)社の製品群の中で使われたり、特定の4chエンコーダーを指したりする文脈で見られることがあります。

また、IT分野では全く異なる意味を持ち、4Kなどの映像圧縮規格や、ウェブページの文字コードを指定するHTMLの記述を指して「エンコーダー」という言葉が使われるケースもあります。
そのため、「エンコーダーS」という単語に遭遇した際は、それがどのような文脈や技術分野で使われているかを確認し、何を指す略語なのかを判断する必要があります。

まとめ

エンコーダーは、モーターや機械の位置、角度、速度を検出し、その情報を電気信号としてフィードバックすることで、精密な制御を可能にするセンサー部品です。
特に、サーボモーターやステッピングモーターを用いたシステムでは、エンコーダーからの情報が不可欠です。
この情報に基づき、サーボアンプがモーター制御を行うことで、ロボットアームや工作機械などの高精度な動作が実現します。

サーボモーターの性能を最大限に引き出すためには、用途に適したエンコーダーの選定が欠かせません。
最新の技術動向としては、エンコーダーから得られる豊富なデータを活用し、機械学習によって装置の異常を予知するなどの応用も進んでいます。
モーター付きの機械設計や制御において、エンコーダーの役割を理解することは極めて重要です。

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